嚥下障害リサーチセンター レビー小体型認知症の嚥下障害

国立精神神経研究センター 山本敏之先生。

1)大脳皮質全体、心臓などの抹消交換神経節や消化管などにレビー小体が出現する神経変性疾患。変動する認知障害、パーキンソン病症状、繰り返す具体的な幻視を中核症状とする。

2)レム睡眠期睡眠行動異常症、抗精神病薬に対する過敏性、大脳基底核でのドパミントランスポーターの取り込み低下が示唆的特徴。注意障害、遂行機能障害、視空間認知障害などが多い。

3)病初期には記憶障害が目立たない。

4)ドパミントランスポーターSPECTでの集積低下、MIBG心交換シンチで心臓縦郭比が低下し頭部MRIでは特異的な所見はない。5)パーキンソニズムに対してレボドパが推奨されるが、精神症状の悪化や不随意運動がしやすくなるため高用量は避ける。ドパミンアゴニストの使用は精神症状の悪化を来しやすい為、特に注意する。

6)レビー小体型認知症は幻視、覚醒レベルの変動がありその後パーキンソン病症状が出現する。パーキンソン病認知症はパーキンソン病症状が認知症発症の1年以上前に出現。運動症状が重症程悪い傾向にあるが、ヤールの分類や罹患期間と必ずしも相関しない。様々タイプの嚥下障害と合併し、錐体外路徴候だけが嚥下障害の原因ではない。

7)不顕性誤嚥が多く自覚に乏しい。

8)認知症や覚醒レベルの変動が食思に影響する。

9)精神症状悪化の為抗パーキンソン病薬の増量が困難である。