嚥下内視鏡検査について

カメラ(胃カメラと同様なもの、直径3mmで胃カメラの約半分)を鼻から挿入し喉の中を直接見ます。食事中の食べ物の動きも同時に観察します。

検査時間は5~7分です。説明などを含め全体の所要時間は約1時間です。

嚥下内視鏡検査例

  • 82歳男性アルツハイマー型認知症
  • 上下総義歯
  • 主訴:食事中にむせる。

 


全体像

内視鏡を挿入して食べる前の状態を見ます。軟口蓋・喉頭蓋・披裂・咽頭空の形を見ます。麻痺や食物と唾液などの分泌物の残留を見ます。喉頭蓋の形と分泌物の残留の場所・程度が重要です。


正門閉鎖

呼吸時の声帯の動きを見ます。いーと発声して声帯、披裂の動きを見ます。指示が入らない時は会話の中で探します。咳にも影響するので重要です。


薄いトロミ水

水分の嚥下を見ます。全くトロミがないと拡散して喉頭蓋を乗り越え誤嚥します。少しトロミがあると側方路に食べ物がながれ嚥下反射が遅くても誤嚥しない事が多いです。この方は嚥下時喉頭侵入しています。水分のレベルを一段階強くしました。


軟飯

咀嚼、食塊形成、舌根部の動き、嚥下反射、誤嚥、残留を見ます。この方は咀嚼は少し甘いようですが問題は左(向かって右)の喉頭蓋谷に残留します。


おかゆ

おかゆを食べてもらいましたが、やはり左の喉頭蓋谷に残留します。少し離水しているようでコメと水分が分離して喉に入ってきます。完全に食塊形成が出来ていないのですが、個人で幅がかなりあるので(あまりかまない人と良くかむ人の差)何とも言えません。咀嚼と食塊形成は連動しているのですが喉に入って来た食べ物、タイミングは重要です。


ミキサー食

ミキサー食でも残留が目立ちます。オカユのほうが咀嚼していて安全なようです。流動性の問題が大きいようですが訓練レベルではゼリー食なのかもしれませんがゼリー食だと丸のみ傾向になる可能性もあります。披裂中央(披裂切痕)が低いのでそこから誤嚥のリスクが出てきます。食事一回におおよそ70回は嚥下するので自由嚥下が中心になります。あまりタイトに決めると厳しい面があります。


フィニッシュ嚥下

ミキサー食、軟飯を食べて貰い、その後トロミ水を3口飲んで貰いました。喉頭蓋谷の残留は大方なくなりました。これを見ると3回目に向かってだんだん少なくなっているとは限りません。機械のような動きのはずですが(パターンジェネレータの作動)出力は一定ではないようです。また交互嚥下の考えもありますが倍量食べなければならないので多くはフィニッシュ嚥の提案になります。